【2024. 7. 7】日本タイ学会第26回研究大会にて、当プロジェクトの事例が報告されました!/ SMART & STRONG Project's Case Reported at the 26th Conference of The Japanese Society of Thai Studies

7月6日から7日にかけて、日本タイ学会 第26回研究大会が大阪公立大学杉本キャンパスを会場として開催されました。

7日午後には、「共通論題2」としてタイの高齢社会に関する研究発表や調査報告などが行われ、当SMART&STRONGプロジェクトの事例も紹介されました。

詳細は、研究大会のプログラム報告要旨集をご覧ください。

永井史男教授による発表の様子
論題での発表概要
  • 「タイにおける高齢者ケアの現状と課題 ―コミュニティベース統合型高齢者ケアの普及モデル事業の視点から―」との題で、まずNGO野毛坂グローカル代表の奥井利幸さんによるプロジェクトの実施背景や関係機関、特徴などについて説明がありました。
  • 同じ題のもと、続いて大阪公立大学の永井史男教授により、ネットワークに参加するタイの自治体26箇所へ依頼し、25自治体が記名回答(うち8自治体は首長が回答)した質問票に基づく質的調査の結果から、それら自治体の属性や特徴といった傾向を発表いただきました(発表時点でデータクリーニング作業中)。リハビリテーションセンターやデイケアセンターの設置、認知症の問題について高い関心を持つ自治体が多い傾向にあること、また、課題として地方自治体の種類(タイにおける"市" "町" "行政区自治体"など)や地域分布に現状偏りがあり、多様な種類・地域への政策波及やネットワークの広がりが可能なのかという問いなどを報告いただきました。
  • また、東京大学大学院博士課程の三好友良さんによる「タイにおける高齢者介護保障の現状:社会保障制度の整備状況と介護提供者の変化に着目して」では、タイにおける政策・制度の視点を含めた介護提供の全体像や特徴、高齢者ケアを担う住民ボランティアなどについて発表がなされました。
  • 続いて、マヒドン大学のクワンチット・サシウォンサーロート准教授による"Challenges of community-based care for dependent older adults: Reflections from family' perspective"の発表では、ナコンパトム市で実施された縦断的研究の結果分析も基に、高齢者をケアする家族の視点や課題について報告され、コミュニティベース統合型高齢者ケアをタイで普及していくにあたり考慮するべき点の示唆が共有されました。
  • 最後に、獨協大学の江藤双恵先生により、「コミュニティ福祉の現在と未来―フェミニスト地域研究の視点から―」という題のもと発表がなされ、男性と比較した女性の長寿化傾向やそれに伴う貧困高齢女性の生活保障、女性が地域におけるインフォーマルケアの担い手となりやすい傾向など、ジェンダーを含むインターセクショナルな視点から脆弱性や望ましいケアの在り方を考えていく重要性が示唆されました。
  • 論題全体へのコメントとして、日本国内における地域包括ケア科学がご専門の大阪公立大学の河野あゆみ教授は、日本のヘルスケア/介護との比較や、日本・タイの相互の事例から学び合える余地についてお話いただきました。また、京都文教大学の馬場雄司教授は、タイの宗教観や文化・社会像を踏まえて高齢者ケアという支え合いの在り方を考えていく重要性について、示唆に富むコメントをいただきました。

On July 6th & 7th, the 26th Conference of The Japanese Society of Thai Studies was held at the venue of Osaka Metropolitan University. This SMART & STRONG Project's case was also introduced in the presentation under the "Ageing Society in Thailand" theme on July 7th.

Presentation Titles and Presenters' Names (*tentative Japanese to English translation)
  • Prof. Nagai Fumio (Osaka Metropolitan University) & Mr. Toshiyuki Okui (NGO NOGEZAKA-GLOCAL) "Current Situations and Challenges on Elderly Care in Thailand - from the perspective of a project on promoting community-based integrated elderly care models (SMART & STRONG Project) -
  • Mr. Yusuke Miyoshi (Doctoral Student at Tokyo University) "The current state of care security for the elderly in Thailand: Focusing on the state of development of the social security system and changes in care providers"
  • Assoc. Prof. Kwanchit Sasiwongsaroj (Mahidol University) "Challenges of community-based care for dependent older adults: Reflections from family' perspective"
  • Prof. Sae Etoh (Dokkyo University) "Current Situation and Future of Community Welfare in Thailand - From the Feminist Area Studies Perspective-

This conference's details of the program & abstracts of presentations are available to read from here (mostly written in Japanese but partly in English).