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当プロジェクトの取り組み
社会の成熟に伴い高齢化が進行するタイにおいて、国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業(Partnership Program)のスキームを活用し、日本とタイの双方の経験を学び合いながら、地域コミュニティに根差した高齢者ケア活動が持続的に発展・普及する仕組みを構築しています。タイの基礎自治体や日本の神奈川県湯河原町が活動の主体となり、NGOや大学、中央省庁や民間事業者など、多様な機関により構成されるネットワークを拡大しながら協力体制を組織しています。
当プロジェクトでは、コミュニティベース統合型高齢者ケアを「医療、リハビリテーション、健康増進、生きがいづくり、介護など各種サービスが統合的に実施される地域包括ケア」と定義しています。地域住民と地方行政のエンパワメントを通じて、高齢者ケアに係る政策・施策や事業など、タイ各地における自律的な取り組みやイノベーションを後押しします。
「国際協力」の新たな手法
- 外務省開発協力白書2022年度版での紹介は こちら から(コラム "国際協力の現場から" #6)
- 朝日新聞に掲載いただいた当プロジェクトのマネジメント手法に関する記事は下記から
① 急速に進むタイの高齢化への対策
世界的に進行する高齢化の中でも、特にタイはその速度が非常に早く、また1人あたりの医療費も急速に増加しており、今後財政が不十分なまま、社会の医療および介護の負担増加が予見されています。この状況に対応するため、これまで中央政府直轄の国立病院が主な中心となり、要介護高齢者への在宅ケアやリハビリテーション、デイケアセンターの整備による通所リハビリテーション環境の構築が、各地で試行的に進められてきました。
しかし、医療資源や財政面の制約から国民全体に十分なサービスを提供することが難しく、結果として、脆弱な状況におかれている要介護高齢者本人のみならず、その家族のリスクにもなっている現状があります。そのため、タイ国家高齢者計画にもあるとおり、コミュニティベースの高齢者ケア体制を、「住民にもっとも近い」行政組織であるタイの基礎自治体が主導し、住民ボランティアや民間企業、公的施設など地域の力を最大限活用しながら築いていくニーズが高まっています。
このような背景を踏まえ、各々の地域コミュニティに根差し、取り組みが(縦割りではなく)統合的に実施される高齢者ケアの普及を目指し、当プロジェクトを実施しています。
2022年8月、これまで住民と自治体が主体となって高齢者ケアの仕組みづくりに尽力してきたパトムタニ県ブンイトー市を含め、タイの自治体9か所が自治体ネットワークに参加し、当プロジェクトが開始しました。2023年7月には、新たにタイの自治体17か所が加わり、全体として26の自治体から成るネットワークが構成されました。タイの各自治体・住民が主導する取り組みと、ネットワークを通じた活動の学び合いにより、1)デイケアセンター運営、2)ケアマネジメント、3)ボランティアによる見守り活動、4)住民主体の介護予防の運動活動、5)生きがいづくりのための活動、6)研修を受けた有償ボランティアによる「介護」、7)認知症カフェ、8)認知症サポーター養成講座など、日本の事例も参考にしながら、様々な取り組みが発展・普及してきました。
今後も、タイの基礎自治体や神奈川県湯河原町をはじめ、中央省庁や大学、民間事業者やNGO等、関係機関のネットワーキングを通じて、国境を跨いだ知見や人材・技術などの環流、各地の課題に応じた取り組みの共創を進めていきます。また将来的には、タイの各自治体が主体的に形作っている取り組みを、周辺国とも相互に共有していくことを見据えています。
② 「対等な学び合い」による相互的な協力
当プロジェクトの大きな特徴のひとつは、タイの自治体間、そして日タイ間での対等な関係を基にした学び合いの実践です。
従来の国際開発では、経済先進国が開発途上国に対して援助をする関係性が一般的でした。しかし昨今は、相互依存的な影響を及ぼし合うグローバル社会のなかで、タイをはじめとする中所得国の社会経済発展も進み、「国際協力」の在り方も、国際協力に関わるアクターの種類も、ますます多様化しています。
当プロジェクトは、先進的な片方が後進的なもう片方を「助ける」「教える」といった上下関係ではなく、ネットワークを構成する対等な立場の関係機関が、それぞれに持つ多様な背景を生かし、知恵を出し合えるプラットフォームづくりを重視しています。
日本は世界で最も高齢化が進んでいる超高齢社会であり、これまで高齢者を社会全体で支えるための公的制度によって、サービスの質や内容が政府主導できめ細やかに整備されてきました。一方、その緻密さゆえに、規定された枠組みや組織を越えて新たな連携や活動を生み出したり、各地域や個別の事例へ柔軟に対応したりすることが難しい部分もあります。近年では、「要介護状態となっても、住み慣れた地域で最期まで自分らしく暮らしていく」ニーズが高まってきており、それぞれの地方自治体における自主性をもとに、各地域のリソースを活用した「地域包括ケアシステム」構築のための取り組みが推進されています。
一方で、従来のタイの高齢者ケアは、家族・親戚などの小規模コミュニティに頼ったインフォーマルなケアが一般的でした。核家族化や産業構造の変化に伴い薄れてきてはいるものの、高齢者とともに暮らしていくうえで「コミュニティのなかで支え合う」という文化や生活様式が根付いており、高齢者ケアの取り組みを柔軟に形作っていける活動の幅が広いとも言えます。地方分権化の流れもあり、「高齢者のケアは第一義的に本人、家族、地域コミュニティで担う」ことがタイ中央政府の方針としても掲げられています。
そこで、日本とタイ、双方の知見や経験、課題や教訓を活かし合い、両国においてニーズが拡大しているコミュニティベース統合型高齢者ケアの取り組みを共創するための相互協力を行います。
タイ国内の自治体・地域間の違いや、日本とタイの国を跨いだ違いがある前提のうえ、高齢化に対応する社会・地域づくりを目指すアプローチや課題認識には共通点もあります。各々の取り組みから学び合う機会を後押しすることで、地域の外から新しい視点や刺激がもたらされます。また、当プロジェクトではタイ各地の自治体や住民自らがオーナーシップを握るため、外から得た学びを自らの制度や現場での活動に取り入れる選択を自由に行い、地域の文脈に合った自律的な取り組みを普及できると考えています。
③ 自治体を中心とした多機関ネットワーク
当プロジェクトには、基礎自治体や大学、民間事業者やNGO、政府機関など、日本とタイを拠点とする多様な組織や個人が協力しています。様々な組織や職種、専門性の視点に立ち、日本とタイの各状況を横断した研修や講座、現場視察、活動報告会などを実施し、知見や経験、技術などの共有を図っています。
また、新聞やテレビなど各種メディアでの紹介や、学会や学術誌での発表など、活動の発信機会を多数設けています。これにより、タイ各地で先駆けて構築される「コミュニティベース統合型高齢者ケア」の啓発を促すと同時に、活動が広く発信されることで、タイの自治体職員や住民をはじめとするプロジェクトの当事者/関係者のエンパワメントにも繋がることを見据えています。
加えて、従来の国際開発では、当事国の中央政府や海外の援助機関などから「活動現場」となる地域や組織が「パイロットサイト」として指定され、そこで「モデル」として発現した取り組みを他の現場へも展開する、「モデル普及型」の事業手法が主流でした。一方、ある特定の地域の文脈で実現されたモデル事例を、背景や予算規模、関わる人材等が異なる他の国や地域に普及する際に、各地の状況に適応した形で持続的な活動展開をする事が難しい課題もありました。
当プロジェクトでは、「コミュニティベース統合型高齢者ケアの普及」という「地域ごと」「時代ごと」に実情が変化し得る目標に対して、タイの各自治体や地域住民など、各地域の現場が主体となって物事を決めていく手法をとっています。予算規模や都市・農村などの地理的条件、宗教や文化を含む社会経済的条件など、多様な特徴を持つ自治体が参加しており、画一的ではない独自の取組が各地で生まれ、状況の異なる事例や資源を全国的に共有し、各地の特徴や時代の変化に即した高齢者ケア活動を普及することを目指しています。
特に当プロジェクトの予算面において、タイ中央政府や国際協力機構(JICA)から各基礎自治体への資金提供範囲を限定しており、各自治体の予算でそれぞれの高齢者ケアに関する取り組みを進めていくことが基本原則となっています。そのため必然的に、自ら資金の捻出をしてでも高齢者ケアの取り組みを拡大することに積極性のある自治体からネットワークへ参加してきます。また、ある自治体が自らの予算を投入して創りあげた施策や活動は、他の自治体も同様に限られた予算のなかで取り組む際、外部からの多大な資金提供を受けて構築されたモデルよりも資金面での模倣がしやすく、先行事例として参考にしやすくなる特徴があります。
このように、基礎自治体や地域住民がオーナーシップをもって取り組むことを、多機関により構成されたネットワークを通じて後押しすることで、(当プロジェクト実施終了後にも)他の地域へと自然に普及していきやすい持続的な技術普及の体制を築くことを目指しています。
上述した「新しい」国際協力のアプローチを、国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業(Partnership Program)のスキームを活用して実践することで、1)「草の根だからこそできる」各現場の自律的な取り組みのエンパワメントと、2)政府関係者や研究者、タイ全土に広がる自治体など多様な関係者を巻き込み、社会全体の変革を見据えたダイナミックな活動展開、これらの両輪を大切にプロジェクトを運営していきます。
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